魚に緑茶、和食の効用に世界が注目!
日本は世界でも有数の長寿国で、和食がユネスコ無形文化遺産に登録されるなど世界的に注目されています。
和食の代表的な食材といえば、穀物に大豆、魚、緑茶ですが、それらの優れた機能性が欧米でも盛んに研究されています。
中でも、魚についてはDHAやEPAといったオメガ3脂肪酸が鬱症の改善、認知機能や視覚領域の向上に有益であるとされ、サプリメントのニーズが高まっています。
現在、アルツハイマー病を誘発する物質として、老人班の原因となるβアミロイドタンパクの蓄積が指摘されていますが、UCLA研究チームが、オメガ3脂肪酸(2000mg)とハーブを配合したドリンクサプリメントの軽度認知障害に対する影響をみるため、MCI患者12人、前MCI患者2人、アルツハイマー病患者7人にオメガ3脂肪酸配合ドリンクを与えたところ、オメガ3脂肪酸投与後のMCIおよび前MCI患者のβアミロイドのクリアランス(浄化)率が、530から1306(蛍光強度単位)に増加したことが分かったといいます。
(FASEB Journal誌2015.4月号)
視覚機能の向上については、Laser Eye Clinic研究チームが、最低1年の間にコンピューターを少なくとも3時間/日使う人でドライアイを発症した478人に、 オメガ3サプリメント(EPA360mgとDHA240mg)か、プラセボ(オリーブオイル)のどちらかを3カ月間与えたところ、オメガ3投与群の70%が、症状は完全に消えたと報告。プラセボ群は14.9%だったといいます。(Contact Lens and Anterior Eye誌2015.7月号)
また、Ophthalmos Research and Educational Institute研究者グループが、ドライ型加齢黄斑変性患者にオメガ3脂肪酸のエイコサペンタエン酸(EPA)、3.4gとドコサヘキサエン酸(DHA)、1.6gを与えたところ、4.5か月以内に被験者の100%で視力に有意な改善が認められたといいます。(PharmaNutirition誌2013.11月号)。
ところで、2015年2月、米国CDC(疾病管理予防センター)の付属機関のNational Center for Health Statistics (NCHS) により米国における代替療法の利用状況が発表され、全米の約4万世帯を対象にした調査で、18歳以上の大人の33.2%が代替医療を利用していることが分かりました。
この代替医療の中でも特に人気なのが、サプリメントによる栄養療法で、そのうち魚油が米人口の7.8%(1880万人)と最も多いことが明らかになっています。
ちなみに、次がグルコサミンとコンドロイチンで650万人、プロバイオティクス・プレバイオティクス390万人の順となっています。高齢化を背景に、脳や目、膝関節、免疫関連の素材の需要が増加していることがうかがえます。
また、緑茶についてはカテキンのがんへの有効性が数多くの学会で発表され、グリーンティー人気が加速。心臓病対策が急務となっている米国では、緑茶が血圧やコレステロール値改善に役立つとして、特に米国では緑茶のサプリメントタイプの需要が高まっています。
University of Washingtonなどの研究者グループが、1,536人の参加者を含む無作為化臨床試験20件の分析を行ったところ、緑茶摂取により収縮期血圧がプラセボ群に比べ、1.94mmHg低下することが分かった。拡張期血圧では差は認められなかったといいます。また、全およびLDLコレステロール値の低下とも関連したといいます。(Nutrition, metabolism and Cardiovascular Diseases誌2014.2月号)
緑茶と運動の併用は脂肪の代謝向上にも有益で、Molecular Nutrition Food Research誌2014.4月号によると、Penn State's College of Agricultural Sciences研究者グループが、マウスに高脂肪食を与え、緑茶成分(主にEGCG)投与かランニング運動を16週間させたところ、緑茶と運動を併用した群は、体質量が約30%、腹部脂肪が40%減少、空腹時血糖値が17%、インスリン値が65%低下したことが分かったといいます。