Exercise is Medicine(運動は薬)!
肥満防止やストレスの解消、糖尿病や骨粗鬆症の予防など、適度な運動の健康効果はすでに周知ですが、先進国になるほど運動不足は深刻化しており、あらためて運動の効用が認識され始めています。
そうした背景には、モータリゼーションやインタネットの発達などで、現代人があまり身体を動かすことがなくなってきたことの反省があるようです。
運動不足は、糖尿病の発症にも繋がりかねませんが、糖尿病患者の1/3は最終的にがんで亡くなるといわれています。糖尿病やがんのリスクを低下させるためにも日頃から適度な運動を心がけることが大切です。
最近判ってきたことで、糖尿病の発症については、太っていると糖尿病のリスクが高まり、痩せていると糖尿病のリスクが少ないとは一概にいえないということがあります。
実は、日本は「痩せ」の国ですが、世界の糖尿病ランキングでは6位です。糖尿病と糖尿病予備軍を合わせると2,050万人で、国民の5人に1人が該当します。
この「痩せ」なのに糖尿病というのは、日本人の多くが「倹約遺伝子」を持ち、欧米人に比べて、遺伝的にインスリンを分泌する能力が低いこととも関係しています。
それと、糖尿病はインスリンの分泌異常とされていますが、むしろ筋肉内に溜まる脂肪、「脂肪筋」が問題であるということです。
つまり、痩せていても筋肉中にどれだけ脂肪が蓄積されているかが問題で、とりわけ日本人は脂肪筋になりやすい民族であることが分かっています。
こうした「脂肪筋」の蓄積を防ぐためにも運動は欠かせません。見た目が「痩せ」だから糖尿病のリスクはない、と考えるのは早計で、逆にそれで運動を怠ると、知らぬ間に糖尿病が忍び寄っていたということにもなりかねません。
ハーバード大の研究で、40~65才までの女性70,102人を対象とした8年間の分析データ(Nurses’ Health Study )で、出来れば1日1時間または少なくとも30分、足早に歩く運動をすると成人型糖尿病のリスクが減少するという報告もあります。
それによると、運動量が多い人ほど糖尿病のリスクが少なく、運動時間が週21.7時間以上の女性は週2時間の女性と比べ、リスクが46%も少ないことが分かったといいます。
また、やはりハーバード大の研究で、40~65歳までの60,290人の女性を対象に10年間調査した結果では、運動量の最も多い女性は最も少ない女性に比べ胆石手術を受ける率が31%少ないことが判明したといいます。